カフェを開業するには開業届を出すべき?書き方とタイミングは?
カフェを開業するときに、開業届を出すかどうか迷っている方がいらっしゃいます。
この開業届は、カフェのみならず、自分で商売を始めた(自営業を始めた)時に提出するものですが、現実として開業届を出さぬまま開業している方もいらっしゃいます。
果たして、開業届とはどういったもので、必ず提出が必要なのか。
今回は、カフェを開業するときの開業届の出すべきなのかという点と、書き方、その提出のタイミングについて説明します。
カフェを開業するときには開業届が必要なのか?
カフェを開業するときには、開業届が必要となります。
開業届を出していないからといって、何か罰を受けたり、提出を督促されたりすることはありませんが、「提出しなければならない」と所得税法で決まっています。
(開業等の届出)第二二九条 居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。
以上のように、届出は必要です。
そもそも、必要ないというのであれば、その届の存在自体がないはずです。
「出さなくて良い」と判断している人がいらっしゃいますが、正しい判断をしてください。
開業届を記入し、提出する先は税務署になります。
開業届の場合では、提出しないことによる罰則規定もなく、提出しなかったとしても税務署から、何かをされるようなこともありません。
中途半端な決まりになっていますので、「開業届を提出するべきなのか」という疑問が発生するのではないでしょうか。
開業届を提出するのは個人の判断
開業届の提出は、提出しておいたほうが無難ですし、他の効果もあります。
開業届は、行政側に「私、カフェ(事業)始めました」と宣言するようなものです。
卑しい考えでもお持ちでなければ、堂々と胸を張って宣言できるはずです。
一般のサラリーマンなどで、超安定志向の人達は、個人事業の開業や、ましてや売上の安定しないカフェの開業に関しては、ものすごく消極的です。
この記事をお読みいただいている方の中にも、友人や親兄弟に反対されながらも開業へ向けて1歩ずつ歩みだしている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、1度でも開業経験があったりする方からしてみると、キチンと計画が立っていて、十分な構想が練られている場合は、それはすばらしいことだと絶賛してくれます。
その決意表明として、開業届を提出する。
そんなふうに考えてはいかがでしょうか。
提出することにより、自分のモチベーションが高なることにもなり、ますますやる気が沸いてくると思います。
開業届はいつ提出すればよいのか?
開業届は、開業してから1ヶ月以内に税務署へ提出する必要があります。
できれば開業したばかりの忙しい時期ではなく、開業前、もしくは開業後少し経ってからといきたいところですが、法律がそれを許してくれません。
税務署側としては、開業したという事実が必要ですし、あまりに届出の締め切りまでに時間があると、届出が漏れる可能性があるため、このような期間としているのでしょう。
開業後の1ヶ月は、そのカフェの将来性やオペレーションの確認、集客のためのイベント尽くしと、経営者は寝る間も惜しんで働くことになります。
そんな状況の中で、開業届の提出まで行わなくてはならないとなると、行政機関の書類に対して慣れていない方は「税務署へ提出する書類」というだけで面倒さにプラスして、大きなプレッシャーを感じてしまいます。
実際、開業届はそれほど難しくなく、記入事項も単純なものが多いです。
怖がらずに記入して提出しましょう。
開業届の書き方は?
開業届は、直接税務署に出向いて記載することも可能ですが、ネットからダウンロードして、自宅で記載することも出来ます。
様式と書き方例が用意されています。
落ち着いて書いていけば、必ず完成させることができる届です。
今後、銀行に融資を申し込んだり、事業の統計を行ったり、帳簿をつけたりという細かい作業を行わなくてはならないのに、この程度の項目数でへこたれていてはいけません。
じっくり落ち着いて書いてみましょう。
といいつつも、一番初めの納税地でつまずく人がいらっしゃるかもしれません。
納税地をどこにするか選択するのですが、極論どこでもよいと思います。
迷ったら、自分の住んでいる場所の住所を書いてしまいましょう。
次に迷うと思われるのが、個人番号というものではないでしょうか。
税務署が用紙にこだわりがあるのか分かりませんが、マイナンバーのことです。
確認しながら書いてください。
その右下に屋号というものがあります。
聞きなれない言葉かもしれませんが、今後カフェを経営していくと色々なところでこの文言が出てきます。
屋号は自分の店の名前です。
もしも店の名前がない(カフェを経営する場合、考えられませんが)場合は、空欄でも可となっています。
この項目の後からが本格的な記入となります。
- 届出の区分
- 所得の種類
- 事業所等を新増設、移転、廃止した場合の住所等
- 廃業の理由が法人の設立に伴うものである場合
- 開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
- 事業の概要
- 給与の関係
このように、項目が分かれています。
1つ1つ見ていきましょう。
届出の区分
迷うことなく、開業に○をつけます。
この開業届というのは、届出の表題のとおり、「開業・廃業等」となっていますので、廃業時にも使うことになります。
今回の場合は、カフェの開業となりますので開業に○です。
所得の種類
不動産、山林、事業と並んでいますが、ここは事業に○です。
ちなみに、ここに並んでいる所得の種類は確定申告の際に特別扱いを受けることがありますので、こうやって分類が分けられています。
事業所等を新増設、移転、廃止した場合の住所等
一瞬、新増設と選択しそうですが、正しくはこの欄に関しては空欄です。
新増設という文言は、新設と増設には分かれません。
あくまで、今までやっていたところにプラス新しく作ったということで新増設となります。
廃業の理由が法人の設立に伴うものである場合
何も迷うことなく空欄となります。
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
さて、ここで「青色申告」という文言が出てきました。
これは確定申告の方法なのですが、青色申告と白色申告の2種類があります。
個人事業の場合、この青色申告を選択することによる税制面でのメリットはとても大きなものがあります。
青色申告を行うためには、青色申告承認申請書を税務署へ提出する必要があり、提出期限も定められています。
何度も税務署に足を運ぶのも面倒ですので、このタイミングで青色申告承認申請書も提出してしまいましょう。
事業の概要
単純に「飲食業」と書いても間違いではありません。
事細かに書く必要はありませんが、もう少し色付けしても良いかもしれません。
例:コーヒーを中心としたドリンク、フード等の提供
こんなふうに書いてみてはどうでしょうか。
給与の関係
従業員を雇ったり、青色申告を行う際に専従者(家族従業員)を使用するのであれば、この欄の記載が必要になります。
以上が書き方となります。
まとめ
「カフェを開業するには開業届を出すべき?書き方とタイミングは?」ということで説明してきました。
ネット上には、「開業届の提出は必要ない」と記載しているところもありますが、キチンと所得税法には「提出しなければならない」となっています。
文言の意味合いからすれば、義務規定です。
義務規定にもかかわらず、罰則がないということが中途半端さを生み出しているのです。
開業届は、これからカフェで稼いでいくんだという決意表明のようなものであり、届の提出によって自分のモチベーションも高鳴りますので、忘れずに開業届は提出しておきましょう。
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