カフェを開業しても失敗する理由とは?失敗しないためには?
飲食業は、開業から3年で7割、10年で9割が廃業していく非常に厳しい世界です。
カフェという業種に関しては、利益も少なく、薄利多売の商売となりますので、実際の数字はもっと高いかもしれません。
せっかく、大きな資金を投入して、念願の夢を叶えたのに、結果が数年で廃業では寂しすぎます。
ただ、この廃業率は自身の経営努力で補える余地が残っています。
今回はカフェ開業に失敗する理由と、失敗しないための対処法を説明します。
カフェを開業しても失敗する最大の理由は薄利多売で利益率が低いから
カフェを開業しても失敗してしまう最大の理由は、薄利多売で利益率が低いことにあります。
一般的な飲食業の場合、原価率は30〜40%と言われています。
コースの注文が多いお店や、Barなどの場合は、1人来客しただけでもある程度の利益(売上−原価と考えて純利益と言ったほうが良いかもしれないですね)を得ることができます。
試しに計算すると、1人当たり4000円の支払いがあったとします。
4000円の40%を原価として見た時、利益は2400円となります。
しかし、カフェの場合は、客単価が低いために大きな利益を上げるのは難しいです。
ランチやデザートセットはせいぜい1000円くらいが手頃で、お客様も食いつく設定ですす。
実際カフェに1人で行った時、3000円も4000円も払ったことはないと思います。
最低の売上、コーヒー1杯の場合はもっと悲惨な利益となります。
カフェの場合は、「数を売って利益を上げる」という世界です。
ただ、それと矛盾するように、お客様の滞在時間が長いという点がカフェにはあります。
ですが、テイクアウト専門でもなければ、「お客様が長い時間くつろぐ」というのはカフェの宿命です。
人気店でも、大多数のお客様がこの行動を行うと、席の回転率が下がり、結果として低い利益となります。
カフェには客単価が低く、席の回転率が低いという矛盾点があるため、おおきな利益を稼ぎにくい業態となっています。
カフェ開業で失敗する理由:開業前の要因
カフェが大きな利益を上げにくい業態だということは、お分かりいただけたと思います。
ただし、これは日々の営業の中の話です。
後述で、もう少し詳しく突いても行きますが、カフェ開業で失敗する原因は、開業前に自分で作ってしまっているケースもあります。
それは、初期の過大投資による、その後の経営圧迫というものです。
設備の過大投資について
カフェを営業する際には必要なものが多く、その1つ1つが業務用ともなると、それなりの値段となってきます。
事務屋さんのように、パソコン1台とデスクがあれば何とかなるというものではありません。
冷蔵庫からシンク、ガス台やコーヒー関係の機材。
ビールを出そうとなれば、サーバーなども購入することになっているかもしれません。
何も考えず「新型だから」とか「これ、見た目がカッコイイ」とかいう理由で選んでいくと、とてつもない金額となってしまいます。
賃貸の場合であれば、地代家賃で敷金・礼金といった契約する費用も無視することはできません。
見込みの計算の甘さ
カフェを開業し、毎日どれだけの人が来店し、どれだけの経費がかかるのかといった予想は誰しもが立てていることと思います。
お客様の1日の来店数、原価率、回転率など様々な見込み数値がありますが、入念にチェックしたり、実店舗での調査など、より現実に近くなるように見込みを立てる必要があります。
ただ、お客様の来店数は、実際に開業してみないと分からないものです。
見込みとは大幅にずれることも多々あると思われます。
これを「運」と考えてしまっては、そのカフェは廃業に向けてまっしぐらです。
キチンとした市場調査を行ったり、開業する立地の近くにカフェがあるのであれば、そこに直に出向き、客足を観察して予想しておく必要があります。
「来客数が見込みと大きく違ったという事態が起きたときにどうするか」という手法も、同時に考えておく必要があります。
後述する開業後の失敗の理由に繋がりますが、開業前にそういった奥の手(副業的なもの)を考えておくことは重要です。
⇒100%確実に夢を叶える方法がある!? 不労収入を作れる副業とは?
開業資金を融資に頼った結果、返済に終われる日々が始まる
カフェの開業資金が莫大な金額になった時に、融資という手段に走らざるを得ない場合もあります。。
カフェの開業資金を、現金一括で決済できるのであれば、まだ良いのですが、融資に頼るとなれば、毎月の返済が発生します。
返済は毎月の利益を圧迫し、また、待ってもらうこともできません。
奥の手を持っており、いざとなればその手法を使い、収入を得ることができる仕組みを作ってあると、それは助け舟となりますので、有効な手段と考えられます。
一番の選択としては「融資を受けないで開業すること」が、一番望ましい方法なのは言うまでもありませんが。
カフェを開業しても失敗するのは、経営者の甘さにある
今度は、開業後に失敗するパターンです。
具体的に起きそうなことを挙げてみます。
開店日の準備不足
オペレーションの設定やアルバイトなどの教育不足、あってはいけない品切れなどを起こしてしまい、最初から悪評が立ってしまい取り返しのつかない事態が発生してしまった。
基本的に開業日に来店するお客さんはその店に期待しています。
将来的にリピーターになる可能性も高い人たちです。
でもそんな開業日にわざわざ期待してくれたお客さんの期待を裏切ってしまえばそのお客さんは二度と来店しません。
さらにネット上に悪い口コミを書かれることにもつながります。
そうなると新規のお客さんもこなくなります。
つまり開業日に失敗してしまうと、
将来リピーターになる可能性が高いお客さんを逃す+新規顧客を逃すのダブルパンチでその後ほとんどお客さんがこなくなります。
初日の失敗が店を潰すのです。
だから開業日に来てくれた人は全員リピーターにするぞというくらいの気持ちが接客することが大事で、準備不足によるオペレーションのミスをしてクレームを受けるとかは論外です。
開業日前にしっかりと接客のシミュレーションをしておきましょう。
リピーターを掴むことが出来なかった
カフェを経営していくに当たって、リピーターの存在は欠かせないものになります。
リピーターを多く抱えこむことが出来れば、毎月の売上も安定しますし、また、定期的に通ってくれるというリピーターの特性により、売上の見込みも立てやすくなります。
ただ、このリピーターを掴むという作業が、一番難しいのです。
店に清潔感があるとか、接客がすばらしい、料理やドリンクがおいしいという初歩的な部分は、どこのお店も行っていることです。
他店と同じサービスを行っていても、自分のカフェにお客様がリピートしてくれる理由にはなりません。
リピーターを作るためには、こちらから強制的に来店させる仕掛けを作る必要があります。
- イベントの開催
- スタンプカードなどの配布
- リピーター限定のサービス
ここに挙げた以外にも沢山あるとは思いますが、何とか一度来店したお客様をもう一度来店させるような仕掛けが重要となります。
ただし、このようなサービスを行い続けると、どうしてもリピーターとの距離が非常に近くなってしまいます。
繰り返し来店していただくことで、お客様側はもちろん、カフェ側もその人の顔を覚えるようになります。
顔見知りレベルともなれば、余計に来店しやすくなり、時にはリピーターから話しかけられることもあるでしょう。
この時に注意しなくてはいけないのが、リピーターとの距離感です。
あまりに近くなってしまうと、友達同士のような感覚に陥り、会話も増えて、接客もいい加減になりかねません。
その場面を見た、新規のお客様はどう思うでしょう。
「場違い」と感じてしまい、その新規のお客様が次に来店してくれる可能性は低くなります。
これでは、新規のリピーター候補を逃すことになってしまいますので、リピーターとはある程度の距離感を持っておきましょう。
費用対効果を考えず、行動に移してしまった
色々な対策を考え、行動することは、重要なことなのですが、完全に無駄と思われることにまで手を出してしまい、結果がついてきていない。
このうち、最後の「費用対効果を考えず、行動に移してしまった」というものに少し触れておきます。
昔(と言っても昭和の時代ですが)と違い、待っているだけでお客様が来店してくれる時代は終わりました。
カフェ側から来店していただく仕掛けを作り、注文が入った時に大きな利益を生むような手法を取らないといけません。
売上だけを考えるのであれば、経営者のポリシー(こんなカフェにしたいとかいう考え)は二の次です。
あらゆる方法を試してみて、結果を分析し、次に繋げていきます。
いわゆる
PDCA(「Plan=計画」「Do=実行」「Check=評価」「Action=改善」)
を常にまわしていく必要ということです。
しかし、この作業は非常に労力を伴いますので、数字の分析をせず、やったらやりっぱなし、もしくは、初めから試さない方が多いです。
日々サービスが進歩し、苛烈な競争が起きている飲食業界では、PDCAを常に意識しているお店となんとなくやっているお店では、後々雲泥の差が開いてきます。
カフェ存続の命綱とも言える行動ですので、面倒がらずに実行しましょう。
お客様が来店する仕掛けや利益を生み出す仕掛けを作らなければ生き残れない
実際にPDCAをまわそうにも、肝心のP=計画が思いつかない。
この悩みがあるかもしれませんが、この責任は経営者にあります。
解消するには、日々のニュースに目を光らせ、世間の流行や情勢に敏感になり、新しい知識を得ていく必要があります。
同時作業で、新しい調理法やレシピの開発を行う必要もあるでしょう。
肝心の仕掛けなのですが、1つ例を挙げてみます。
「ウチはこのコーヒー1本で売っていくんだ」という強い意志で開業され、それがコンセプトのカフェもあるとは思います。
このように設定したカフェの場合、相当に高い価格を設定しなければ生き残れないでしょう。
しかし、高い価格に設定してしまうと、今度は本当のコーヒー好きのような人しか来店しなくなり、来客数が少なくなります。
カフェで大きな利益を上げてくれるのは、セット商品です。
デザートセットやランチセットなどですね。
セットにすると、割引が入り、利益が減りそうですが、実はそうでもありません。
コーヒー1杯400円、ケーキを1つ350円(共に原価率30%と仮定)、セットにすると700円で売り出しているとします。
お客様が来店して、各メニューを1つずつ注文します。
すると利益は400−(400×30%)+350−(350×30%)で525円の利益が出ます。
セットを注文した時は、700−(400×30%+350×30%)で475円の利益が出ます。
単品の利益だけを考えれば、セットにしないほうが利益は出ます(当然ですが)。
ただ、誰もが感じたことがあるであろう「あれ?セットにすると安いじゃん」という感覚。
特に女性の場合、このようなデザートセットがあると喜ばれ、コーヒー単品よりも多く注文が入ることが少なくありません。
1人のお客様が、コーヒー1杯で帰ってしまうと利益は280円。
セットを注文してくれれば、利益は475円。
同じ1人の来店で、約200円もの利益の差が出ます。
こういった手法を取り入れて、利益のアップを狙っていきましょう。
まとめ
「カフェ開業に失敗する理由とは?失敗しないためには?」ということで説明しました。
開業前、開業後で悩みは違うかもしれませんが、カフェでは自分の思ったとおりにことが運ぶことのほうが少ないと思ってください。
何かが起きた後、それを解決する力が必要になります。
カフェの開業で失敗しないためには、世間の流行や情勢に敏感になり、新しい知識を得て、それを自分のカフェの経営に盛り込んでいく必要があります。
そして、新しいことを行った際には、常にPDCAを意識して、今後に繋げていくという実行力も必用です。
経営者となり、ゆったりと過ごしたい気持ちも分かりますが、カフェの生き残りの命運は経営者の努力が握っていますので、気を抜かずに日々を過ごしましょう。
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