カフェは個人経営で開業すべき?個人と法人の違いを説明します
カフェを開業したいと思ったときに、個人経営とするか法人(株式会社○○みたいな感じ)で経営するか、決めなくてはなりません。
ですが、ほとんどの方は個人経営という選択をすると思います。
なぜ、個人経営を選ぶ方が多いのか。
今回は、カフェを個人で開業した場合と法人で開業した場合の違いを説明します。
カフェを開業する時、個人経営にするべきか、法人経営にするべきか。
カフェを開業するときには、その事業規模によって個人経営にするか、法人経営にするか選択する必要があります。
そして、個人経営がよいのか、法人経営がよいのかは、誰にもわかりません。
ただ、それぞれの経営によるメリット・デメリットが存在します。
そのメリット・デメリットをキチンと把握し、事業形態を考える必要があります。
個人経営とすれば、日常生活の延長上という感覚が大きくなるので、カフェ(飲食)の場合は、受けられる恩恵は大きいです。
法人経営となると、いくら事業主だとしても、法人に雇われる人間。
つまり、給与を貰う人(役員報酬を貰う人)となりますので、経営と日常生活はバッサリと分ける必要が出てきます。
もう少し詳しく見ていきましょう。
カフェを個人経営として開業した場合のメリット・デメリット
個人経営として開業した場合、次のようなメリットが考えられます。
メリット
個人経営の場合、税金面で有利になる可能性がある
普通の生活の延長線上に、カフェという経営があるということになりますので、売上=収入となります。
特に自宅を改造して開業した場合であれば、光熱費などは普通の生活で使っている額も税金計算を行う時に算入することができます。
(損になるか得になるかはわかりませんし、いちおう生活上と経営上の按分の割合なども決まっています)
よって、やりようによっては、経営で多少損をしていても、全体の生活としてみると裕福になるということがあります。
設備に関して使い回しがきく
カフェを経営していく上で必要なものというのは、一般家庭の生活上でも役に立つものが多いです。
例えば、コップ1つにしろ、皿1枚にせよ、日常の生活でも使えます。
レンジや冷蔵庫などに関しても、「長年使っていたものを新品導入するためにいらなくなった」という時に、規模が大きくなく、家庭用のもので揃えていた場合は、それを日常生活用のものとして卸すこともできます。
個人経営の場合、これらは個人として購入したものですので、どう使おうが関係ありません。
事業に必要だったから買ったという裏づけをつけることができれば、それは必要経費となり、節税対策になります。
カフェとは関係ありませんが、ある税金の関係者から、私が聞いたことのある話です。
ある個人経営者は、お米を作っていて、それを販売していました。
農家ですね。
その人が、お米を運ぶのに必要だからということで、車両を購入しました。
普通であれば、ここで軽トラなどを想像すると思いますが、その方が車はバリバリのスポーツカーです。
さて、これが税務署の審査を通るかといえば、通ってしまいました。
ただ、その方の場合、もっと大きな脱税のようなものがバレてしまい、最終的にはスポーツカーも認められない方向になりました。
これは極端な例でしたが、税務署が個人の税金について調査に入るというのはごく稀です。
個人の数百万の税金を取り立てるよりも、大きな法人などのウン億という金額を取り立てたほうが、国の財政的にも効率がよいからです。
個人だからということで、あれもこれも経営の経費にしてしまうのはオススメできませんが、グレーなところが多いのも事実です。
この部分を上手く使うと、収入は少なくなっても、税金が少なくなり、それにより発生してくる行政サービスの特権(医療費が安くなったりすることがあります)を使うことができることになり、総合的に今までよりもいい暮らしができるということになる可能性があります。
ただ、この部分はあくまでグレーな部分ですので、見つかった時のリスクは考えておく必要が同時に発生します。
デメリット
では次に個人経営のデメリットを見ていきましょう。
カフェの経営と私生活は一心同体
日常生活の延長上にカフェの経営があるということは、カフェでの売上は自分の生活費となりメリットにもなるのですが、その逆もしかりです。
逆のパターン。
それは借金です。
これは法人経営の場合、メリットになるのですが、個人経営の場合デメリットとなります。
カフェの経営でこしらえた借金=経営者の借金となります。
事業を行う際の借金は、大きな金額になります。
100万、200万ならまだしも、積もり積もって気づいたら1000万ということがあるかもしれません。
もしも、倒産したときには、カフェの借金は全て経営者に降り注いできます。
倒産するくらいですので、身銭や定期的な収入がないわけですので、恐らく自己破産という道を選ばざるを得なくなると思います。
法人経営としてカフェ開業した場合のメリット・デメリット
法人経営としてカフェを開業した場合には、個人事業でのメリットがデメリットに、デメッリトがメリットに変化するような感じです。
メリット
カフェの経営と個人の生活は完全に分離。
個人経営の最後に書いた部分、借金に関しては、法人にとっては、メリットとなります。
法人と個人はあくまで法律上別人格です。
法人の体系にもよりますが(有限会社とか株式会社とか)、法人の借金は法人の借金です。
例えば、法人化していた(株)○○が倒産したとしても、法人の借金に関して、事業主が責任を負う必要はありません(有限会社などだと負わなくてはいけなくなりますが)。
言い方悪いですが、借金を踏み倒して終わりです。
貸した側も、追求できません。
借金踏み倒しは、人道的にどうかと思いますし、お金を貸す側も連帯保証人として、事業主個人を指名すると思いますので、そうそう上手くはいかないとは思いますが、法人が別人格で扱われる限りは、やってできない方法ではありません
法人格を持っているだけで取引が有利に働くことがある
法人というものは、名称でハッタリが利きますので、融資の申し込みや、新たに企業と取引(会議の時にコーヒーを注文してもらったり)する時には、有利に働く場面があります
そのためにも、毎月の帳簿締めなど、細かい経理の部分などはしっかりとやっておく必要がありますし、責任ある事業運営を行わなくてはいけません。
毎月帳簿をしめて、残高などがあっているのか確認し、ある程度の大きい法人であれば、役員を集めて収支報告を発表したりする必要もあるかもしれません。
個人事業のように、年1回、青色申告のためと帳簿とにらめっこするようやり方では通じません。
ただ、法人はこれだけしっかりした体制の下で事業が行われているということが前提で成り立っていますので、社会からの信頼は厚いものとなります。
デメリット
法人の場合は、日常の生活と事業はキチンと分ける必要がある
法人の財産は法人のもの、個人で使いまわすことはできません。
極端な話、ボールペン1本ですらも、自分用で使うことはできません(あくまで極論です)。
いい加減な計算を行っていると、後で税務署から痛いお仕置きが待っているかもしれません。
それに、個人の部分で触れていますが、税金面に関しては、個人に対して、有利な部分が発生しません。
あくまで「給与所得者」となりますので、税金の計算方法は、雇われ人のサラリーマンなどと同じ方法となります。
自宅でカフェを開業していたとしても、自宅分の光熱費と事業での光熱費を一緒にすることはできず、別々に支払う必要があります。
もちろん経費に算入できるのは事業部分のみです。
まとめ
カフェを開業するときに、個人経営にするべきか、法人として経営するべきかを説明してきました。
どちらも一長一短という部分がありますが、ほとんどの場合、最初は個人経営になると思います。
法人としたときのメリットもあるのですが、それを維持していく手間のほうが大変です。
法人化は後でもできますので、ある程度、事業規模が大きくなってからと考えてはいかがでしょうか。
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