カフェ経営の厳しい現実。カフェが儲からない理由とは?
全国各地にカフェが点在する今、カフェの経営は非常に厳しいものとなっています。
新規にオープンするカフェも多いのですが、閉店していくカフェが多いのも現実です。
「ウチのカフェは、他と違うからそうはならない」と思っていても、現実は甘くありません。
今回はカフェ経営の厳しさと、儲からない理由を説明していきます。
カフェ経営は、なぜ厳しいのか?
カフェの経営が厳しいのは、開業のハードルの低さによるカフェの乱立にあります。
カフェは食品衛生責任者という1日講習を受けるだけの資格と資金があれば、開業することができます。
バックアップしてくれる企業などが存在するのであれば、資金すらも必要ありません。
たった1つ、食品衛生責任者という資格さえ取ってしまえば、カフェの開業が可能です。
数が増えていけば、同じようなカフェが存在するのは当然です。
最終的に売れると分かれば、大手が同じサービスを始めてしまいます。
大手は、資金力の大きさを武器に、個人経営で同じことをやるよりも格安の金額でサービスを提供してきます。
そうなれば当然、お客様は大手に流れ、個人経営は廃れていってしまいます。
飲食業の廃業率は、3年以内の廃業が7割、10年以内の廃業率は9割と言われています。
そして、この数字は「飲食業」となっていますので、カフェの場合はもっと厳しい数字ではないかと考えられます。
特に前述のような、「のんびり」などの夢を見て開業した方の場合は、計画が甘く、1年も持たずに廃業してしまうことも多々ありことでしょう。
具体的に、カフェの経営の厳しさを売上などの数字でも分析してみます。
カフェの経営が厳しいのは、客単価の低さと流動的な売上が原因
カフェの収入といえば、もちろんコーヒーや料理を提供して得た金額となります。
1杯400円でコーヒーを出すと考えたときに、収入として50万を稼ぎだしてみましょう。
50万円÷400円=1250杯
他にも料理などのメニューもあると思いますので、単純にこの計算では図れないのですが、一例として考えてください。
この結果を、月の稼動日で割って、1日あたり何杯売らなくてはいけないのかを計算します。
稼動が週1休みで25日と仮定しましょう。
1250杯÷25日=50杯
月に50万円の収入を得るためには、1日50杯売らなくてはなりません。
それも、毎日、コンスタンスにです。
1日50杯のコーヒーが出るということは、単純に50人の来店が必要となります。
これだけの来店者があるカフェは、郊外では早々あるものではありません。
立地的に、駅近辺や人の通りの多いところとなります。
さて、ここで問題が発生します。
設定値である、月50万円の売上なのですが、駅近辺や人通りの多い好条件の場所でカフェを開業した場合、月の経費が50万円で収まるのでしょうか。
軽く計算しても、原価率30%(15万)、光熱費合計(電気・ガス・水道各2万で6万)、通信など(2万)、諸雑費(2万)。
必要最低限で考えても、ここまでで、25万円です。
そして、1日50人も来店するとなれば、とても1人では裁ききれませんので、バイトなどの人件費もかかります。
時給1000円×混むと思われる時間のみ4h×25日=10万円。
ここまでの計算で、残りは15万円です。
好立地の場所に自宅があり、そこでカフェを開業したというのであれば、賃貸料がかからないため、50万円以内に収まるかもしれませんが、ほとんどの方は賃貸でスタートすると思われます。
それを踏まえて、月額15万円で、10坪以上(50人の来店を考えると10坪では足りないと思われます)の駅前などの好立地の物件を探さなくてはなりません。
恐らく、そんな物件はないでしょう。
仮にあったとしても、まだ計算要素に含まれていないものがあります。
自分の給料です。
月10万の給料でもよいと考えても、10万円を稼ぐためには、360杯(原価率30%で売上にして14万以上)売ることが必要です。
このように、カフェは薄利多売の商売であり、来客がないことには売上が上がりません。
売上を求めるためには、好立地の場所で開業することが必要になり、逆に固定費が増えるという悪循環を発生させる商売です。
ドラマやアニメの世界の中のカフェのように、のんびりとした経営で生活していくことなど、到底不可能です。
カフェ経営の現実はもっと厳しい
カフェの実態がつかめていただけたと思いますが、現実は上記の例よりももっと厳しいです。
上記の計算では、売上の目標数値を作りましたが、ここまでの数字を叩き出すことは不可能に近いです。
いくら駅前の好立地にカフェを開業しても、名前が知れるまでは来店も少ないですし、下手をすると1日の来店がゼロという可能性もあります。
当然、雨や雪で悪天候であれば来客は減ります。
では、晴れていればその分回復できるかというと、席数は限られていますので、上限は決まってしまいます。
台風が直撃して居座りますなんてことになれば、何日も来客がない状態になるかもしれません。
このように、カフェは「1日いくら稼げる」といった、固定的な収入を得られるものではありません。
しかし、家賃などの固定的な支払いは、毎月やってきます。
キチンと先を見据えて、計算しながら経営を行っていかないと、支払いが滞ってしまい、最悪閉店という事態に追い込まれていくことになります。
この部分の感覚は、特に脱サラして始めた人は、注意しなくてはいけません。
サラリーマンであれば、月の何日にいくらという支払いが確定しており、それを基準にして計画を立てることができていたと思いますが、カフェの経営ではそのようなことはできません。
文字通り「日銭」を稼ぐ商売であり、収入は1日単位で変化します。
この条件のもと、支払うものはキチンと支払い、健全な経営を行う必要があります。
まとめ
「カフェ経営の厳しい現実。カフェが儲からない理由とは?」ということで説明してみました。
カフェの経営は非常に厳しいです。
売上を上げるためには、固定費が増大するという矛盾が生じているからです。
これでは、いくら売っても儲けにならず、実際、好立地の場所にカフェを開業しても来店があるかどうかは、博打のようなものですので、カフェの開業自体、博打なのかもしれません。
ただ、売れるか売れないかは、経営者の腕次第です。
日々知識の取得や、情報収集、経営努力を行い、安定した売上を稼げるようになれば、カフェの経営を通して、新たな人脈や経験と言ったサラリーマン時代やお金では買えない経験をすることができるので、人間として大きくなれます。
厳しい現実を事実として受け止め、それに対処できる経営戦略を練っていく必要があります。
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