カフェ経営者のための青色申告の書き方

カフェ経営者のための青色申告の書き方

カフェ経営者のための青色申告の書き方

青色申告は少々の手間を増やすだけで節税になったり、適正な収支管理ができるため、個人経営者にとっては大きなプラス要素となります。

 

 

ただ、こういった行政機関の書類に関しては、どんなに簡単な申請(青色申告書は少々難しいですが)であったとしても拒否反応を起こしてしまう人がいます。

 

今後毎年行う作業になりますので、コツを掴んで慣れてしまいましょう。

 

 

今回は「カフェ経営者のための青色申告の書き方」について説明します。

カフェ経営者に必要な青色申告書の書類

青色申告書は、様々な用紙が組み合わさって、1つの申告書となります。

 

確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書等 l 国税庁ホームページ

 

こちらは、国税庁のホームページとなりますが、なにやら訳の分からない文言の用紙が様々並んでいます。

 

この中から、必要な用紙を選び出し、作成して提出することになります。

 

 

カフェを経営している場合、最低限必要なのは、以下の通りとなります。

 

  • 申告書B(平成29年以降用)
  • 申告書第四表(損失申告用)(平成28年以降用)
  • 所得税青色申告決算書(一般用)(平成25年以降用)
  • 添付書類台紙(平成29年以降用)

 

となります。

 

他にも、用紙がありますが、用紙の表題を確認してみてください。

 

分離課税だとか、不動産だとか、そのものズバリの言葉が書いてあります。

 

 

カフェの経営以外に、それらの所得がある方はその用紙が必要となりますが、基本は上記の3つ(台紙入れて4つ)となります。

 

 

それでは、上から順にといきたいところですが、書き方のコツとしては、「所得税青色申告決算書(一般用)(平成25年以降用)」の、それも中身から記入していくことです。

 

 

青色申告をする際には、いくつもの用紙がありますが、その項目の中には同じ数字が記入される項目がたくさんあります。

 

 

それは、同じ用紙内であったり、用紙を飛び越えて記入することもあります。

 

所得税青色申告決算書(一般用)(平成25年以降用)の中身には、その1年でどれだけの収入があって、どれだけの支出を行ったかを書くようになっていますので、まずはこの内訳や集計を行いましょう。

所得税青色申告決算書(一般用)(平成25年以降用)の書き方

それでは、青色申告の書き方を説明します。

 

 

1. 月別の売上と仕入の記入を行う

1枚目からではなく、2枚目からスタートしてください。

 

 

一番最初に飛び込んでくるのは、月別の売上と仕入です。

 

 

青色申告をするためには、帳簿系をキチンと備えていることが条件ですので、それを転記していくことになります。

 

注意したいのは、支出ではなく、仕入という文言です。

 

間違えずに記入しましょう。

 

 

2. 給料についての記入を行う

従業員に払った給与と、専従者(家族従業員)に払った給与を別に記入します。

 

従業員や、専従者(家族従業員)を雇っていなければ、「0」と記載します。

 

 

3. 貸倒引当金の記入を行う

左下に、貸倒引当金の欄があります。

 

 

現金商売(数日後に入金されたりするような商売ではない)であるカフェでは、あまり関係ない部分にはなりますが、これは回収不能になりそうな売上分を指します。

 

 

カフェの場合は、ほとんどがその場で売上が回収されるため、記入することは、ほぼないのではないでしょうか。

 

 

最後に、青色申告特別控除額の計算の欄が残りますが、ここはちょっと飛ばしましょう。

 

 

1ページ目の損益計算書が完成しないと書けないため、保留です。

 

 

4. 減価償却の欄を記入する

3ページ目に移り、減価償却の記入を行います。

 

この確定申告の作業の前に、市区町村から「償却資産申告書」というものが送られてきて、確定申告を提出する前に、提出しているはずです。

 

それを参考に、記入していくことになります。

 

 

5. 地代家賃の内訳の記入を行う

下半分について、恐らく記入が必要となるのは、「地代家賃の内訳」と思います。

 

賃貸の場合は、1年間に支払った店舗の家賃、加えて駐車場も借りているのならば、駐車場の家賃も記載します。

 

 

6. 利子割引料の内訳について

利子割引料の内訳は、金融機関以外の個人・法人への借入金の利子がある場合に記入することになりますし、弁護士はまだしも、税理士への料金が発生するということは、この青色申告書の作成作業も税理士が行うと思いますので、自分で記入する必要はないと思います。

 

イレギュラーで、そういった方に支払いが発生した時はキチンと記入しましょう。

 

本年中における特殊事情について

最後にある「本年中における特殊事情」は、特別な事情で極端に収入が増減し、税務署に伝えたいことがあれば記入する欄です。

 

 

これを書いてどうなるか分かりませんが、もしそのような状況なのであれば、記入してもよいかもしれません。(確定申告が正しいかどうかの審査は、税務署員がやってるとは思えません。ほとんどがアルバイトやパートが書かれている内容をそのまま端末に入力するのみだと思われますので)

 

 

7. 貸借対照表を記入する

続いて、4ページ目となる「貸借対照表」です。

 

 

貸借対照表は、見る人が見ると、そのカフェの経営実態や将来性が丸裸になるという恐ろしい用紙です。

 

 

お金や商品の流れ(増減)を見る用紙ですので、期首と期末の欄があります。

 

期首はもちろん1月1日、期末は12月31日となります。

 

該当する項目を数字で埋めていくのですが、カフェ経営としてちょっと厄介なのが「棚卸資産」です。

 

 

8. 棚卸資産の計算の方法

期首に関しては、開業初年度であれば「0」となりますが、期末が問題です。

 

 

例えば、1袋3000円のコーヒー豆が中途半端に残っている。

 

こう仮定した時に、棚卸資産としてはいくらになるのか。

 

 

重さを量って、割合の数字を出すのもよいかもしれませんが、他のものも同様の作業をしようとするととてつもない作業量になります。

 

 

この作業は現実的ではありません。

 

この場合は、一回封を開けてしまって使用しているのであれば、棚卸資産の中に含める必要はありません。

 

含めてもいいのかもしれませんが、12月31日に税務署員がその場で確認しなければ、証拠は掴めませんし、年が明けて3日もすれば営業を再開することになるでしょう(正月休みがなければ1日からですし)

 

 

証拠の掴みようがありませんので、いっそ使用済みと判断して、計算から除外してしまいましょう。

 

 

9. 建物の関係について記入する

ここは、3ページ目で書いた減価償却で記入した数字がそのまま入ることになります。

 

特殊な計算を行わなければならないということはありませんので、そのまま1年の合計額を記載(転記)していきましょう。

 

 

10. 最後に損益計算書を完成させる

ここまで記入した後に、1ページ目の損益計算書へ戻ることになります。

 

 

様々な項目が並んでいますが、今まで記入した数字がそのまま転記されていくことになります。

 

 

記入できない(その項目の支出はある)場合は、帳簿の集計を行って、記入していくことになります。

 

損益計算書上で、計算しなくてはいけない項目は、日本語での表記の下に計算式が書いてありますので、それにしたがって計算し、金額を埋めていきましょう。

 

最後の方にある「青色申告特別控除前の所得金額」の答えが出たら、2ページ目で飛ばしていた空欄を埋めることができます。

 

最後に所得金額を記入して、青色申告決算書の記入は終了です。

 

疲れた頭を、ひと休みさせてあげましょう。

申告書Bの書き方について

続いて、申告書Bの書き方です。

 

ちなみに、申告書Aは給与収入者が使い、個人事業主がBを使うことになります。

 

 

青色申告決算書は、カフェの収支を示すものであり、申告書Bは、経営者本人の収支を示すものと捉えていただけると、少々理解しやすくなるかもしれません。

 

 

この申告書Bが書きあがると、税金の金額、又は税金が還ってくる額(還付額)が決まります。

 

項目ごと、正しく、記入漏れのないように注意していきましょう。

 

大前提として、税金の決まり方を覚えておいてください。

 

 

収入−支出=所得金額

 

所得金額−各種所得から差し引かれる金額=控除後の所得金額×税率

 

 

収入と所得は、全くの別物として捉えてください。

 

これを理解すると、申告書Bはある程度スムーズに書いていくことができます。

 

 

申告書Bに関しても、1ページ目からではなく、2ページ目から記入をスタートします。

 

 

当然、収入を得ていない部分の記入は必要ありません。

 

もしかすると、白紙になってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、それはそれでよいのです。

 

 

でも、開業初年度などの場合であれば、前に務めていた会社の給与や社会保険料控除を書いたり、生命保険などを掛けているのであれば、生命保険料控除の記入が必要となります。

 

もちろん、扶養者がいる場合には、扶養控除の欄も記入してください。

 

 

2ページ目を仕上げたら、1ページ目に戻ります。

 

1ページ目の記入なのですが、2ページ目で書いたことを丸写しするような感じになります。

 

 

ただ、「収入」と「所得」の区別はつけながら記入してください。

 

 

それさえクリアできていれば、本当に丸写しです。

 

 

左半分を記入することによって、右側の税金の計算を行います。

 

 

各欄には、計算方法が書いてありますので、それに従って計算・記入を行います。

 

これで、申告書Bが完成します。

申告書(損失申告用)第四表(一)、(ニ)について

青色申告は赤字(損失)を繰り越すことができます。

 

 

「申告書(損失申告用)第四表(一)、(ニ)」は、その赤字(損失)を繰り越すための用紙となります。

 

 

記載項目は少ないです。

 

カフェの経営で赤字が出たのであれば、大きな枠の「1 損失額又は所得金額」、「2 損益の通算」の1行目を記載するのみです(2番は合計も要りますが)

 

他に、不動産を転がしていたり、株やら先物などを行っている場合は、そこの記入も必要となります。

 

加えて言うと、そこの項目を記入する場合は、今回紹介している用紙以外の用紙での提出や追加が必要となりますので、注意が必要です。

 

 

この第四表には(一)と(ニ)がありますが、共に同じ項目を書くようになっています。

 

 

これまでの申告書Bや青色申告決算書に比べれば、とても簡単な書類となっていますが、気を引き締めて書いていきましょう。

 

これで、青色申告に関する書類が全て書き上がるのですが、最後に確認してください。

 

 

各用紙の、住所や氏名に漏れはありませんか。

 

 

忘れることはないと思いますが、念のため申し添えておきます。

まとめ

「カフェ経営者の青色申告の書き方」ということで説明してきました。

 

慣れないうちは大変苦労する書類ですが、がんばって完成させましょう。

 

用紙をダウンロードして、手書きで記入していってもよいのですが、国税庁のHPで確定申告書を完成させることもできます。

 

確定申告書等作成コーナー

 

 

電子申請を利用しなくても、入力が終わった後に紙として印刷し、それを提出することも可能となっています。

 

 

あとは、帳簿の〆(集計)作業は年を越えたら早めに行いましょう。

 

これが終了していないと、申告書などを作成することも出来ません。

 

提出は3月15日までですが、1月の間に作成作業を終了しておきたいところですね。

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