カフェでお酒をメニューに入れるメリットと必要な資格・申請について
カフェを開業するときに、お酒をメニューに入れるかを決めるのは、重要な決断となります。
お酒をメニューに取り入れると、売上アップを狙うこともできますが、1歩間違うとカフェのコンセプトからズレたり、要らぬ気を使わなければならないという場面まで発生します。
お酒をメニューに取り入れるのは諸刃の剣です。
なぜ、そのように考えられるのか。
今回は、お酒をメニューに入れた時に発生するメリットや資格、申請について説明します。
カフェでお酒をメニューに入れるメリット
カフェでお酒をメニューに入れると、以下のようなメリットが発生し、売上の大幅アップに貢献してくれます。
お酒を注文する人は、つまみも注文する
カフェの売上は、来店するお客様の数で決まるため、集客というものが非常に重要です。
見込みを出す時でも、お客様が来店して、「コーヒーとケーキを頼むから、1人○○円の売上が出る」と計算していくと思います。
一般的には、注文はこれで終わりでしょう。
でも、お酒を注文するとなると話は変わってきます。
お酒を注文する人は、つまみも一緒に注文します。
時間が夜間であれば、もうちょっと飲むかなと、もう1杯。
つまみがなくなれば、違うつまみを注文。
という具合に、注文数が増えます。
当然、注文数が増えれば売上も上がります。
このような効果が見込まれるため、お酒をメニューに入れるのは、非常に有効な手段となります。
提供が楽
手の込んだカクテルなどでもない場合は、コーヒーを淹れるよりも簡単な作業で提供できます。
このように書くとその道のプロ(バーテンダーさんとか)に怒られそうですが、現実を考えたとき、お湯を沸かしてコーヒーをドリップする時間と、ビールを1杯注ぐ時間とでは大きな差があります。
本当は、ビール1杯注ぐにも専門的な知識が必要だったり、コツがあったりとするのですが、コーヒーを注ぐよりは手順が少ないでしょう。
単価に関しても、アルコール類のほうが若干高めの設定と思います。
短い時間で、コーヒー以上の売上を上げることができます。
経営だけを考えれば、このメリットは大きいです。
カフェでお酒をメニューに入れるデメリット
残念ながら、デメリットも存在します。
お酒を提供することにより、覚えなくてはいけないものが増える
片手間で出すビールくらいなら、ちょっと外国製の珍しいものでも用意すればよいのですが、ウィスキーあり、カクテルありと種類を増やすことはあまりオススメできません。
自分の提供するものには責任を持たなくてはなりません。
提供する限りは、ウィスキーについても様々な知識やレシピを学んだり、カクテルの知識も必要になってきます。
そうしないと、お客様から説明を求められた時に、「わかりません」では呆れられてしまいます。
酔った人間の対処
落ち着きのある、雰囲気のよさそうなカフェの中で、明らかにお酒に酔っている人がいたら、来店するお客様は、どう思うでしょうか。
入ってしまったが最後、コーヒーの1杯くらいは注文するとは思いますが、そそくさと出て行ってしまうのではないでしょうか。
そして、二度とお店には来ないことになるでしょう。
ここで「酔っ払いがいたのが悪い」と考えてしまってはいけません。
そういうことになることを想定できなかった、見込みの甘さが原因です。
お酒をメニューに入れようと考えるときは、このデメリットは必ず頭に入れておかなくてはなりません。
営業時間の延長による体への負担
最後に、営業時間の延長による体への負担があります。
長い目で見ると、これが最大のデメリットかもしれません。
お酒の需要のある時間は、間違いなく夜です。
お酒を提供しようというのであれば、この時間を狙わないわけにはいきませんので、必然的に営業時間が夜間に及んでいくことになります。
日付を超えないまでも、21時や22時にカフェを閉めることになります。
閉める時間に、鍵だけ閉めて「はい、さようなら」ならまだいいかもしれませんが、後片付けと帳簿締めなどが待っています(通常なら)
この状態で、翌朝は「モーニングやります」、「ランチをやります」というのは、いったい何時間休むことができるのでしょうか。
カフェは、営業時間だけが仕事の時間ではなく、開店前、閉店後にも多くの仕事が存在します。
特に、個人営業であれば、何から何まで1人でこなす必要があります。
チェーン店で、バイトがまわすならまだしも、個人営業レベルでは、体がもちませんし、そもそも、その人件費を払っていけるだけの売上が上がるかどうかも、厳しいのが現状です。
周りのカフェに関わらず、飲食店全般を見てみましょう。
朝早ければ、閉店が早いですし、夜遅くまでやっていれば、開店が遅いです。
これは、当然のことですし、世間一般的にもそのように考えています。
営業時間が長ければ、それに売上が比例するというものでもありません。
もしも、体を壊し、営業出来なくなったら大損害です。
適度な仕事量、適度な休憩。
これが、カフェを長く続けるコツです。
カフェのメニューでお酒を入れるときに必要な資格・申請
カフェでお酒を提供する際には、特別な資格は必要ありません。
開業するときに必要になる「食品衛生責任者」。
これがあれば、お酒を提供することができます。
ただし、夜の12時を過ぎても営業しており、お酒を提供するのであれば、警察へ届け出る必要があります。
この申請ですが、特殊な営業形態をとらない限りは、必要ないことが多いでしょう。
夜の12時以降も営業するカフェは、朝や昼間の営業が難しくなります。
体がもちません。
カフェの業態で、この朝と昼を営業しないのは、売上的に相当な痛手となります。
売上欲しさに、夜間中心の営業を行うのであれば、当然注文が入るのはコーヒーよりもアルコールであり、既に「カフェ=コーヒー」という概念が崩れています。
そこはもうカフェというよりも、居酒屋と言ってもいいかもしれません。
カフェは、コーヒーがおいしいからカフェなのです。
私は、そう思いたいです。
まとめ
「カフェでお酒をメニューに入れるメリットと必要な資格・申請について」ということで説明してきました。
提供するのは自由です。
営業許可が取れるようなカフェであれば、特別な資格は要りませんので、メニューに取り入れることができます。
しかし、お酒を提供することにより、カフェの雰囲気が変わってしまうことがありますし、覚えなければいけない知識も沢山出てきます。
高い売上が見込めるという点では、メリットが大きいのですが、下手をすると自分の首を絞めてしまう。
これが、冒頭で言った「お酒をメニューに取り入れるのは諸刃の剣です。」という意味です。
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